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冬の候

冬の後に

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  おそらく、すべての肉体は、 死を夢見つづけることによって この世に虚花として開花するのだろう。 いくつかの冬の後で。 いくつかの愛の冬の後で。 『魂鎮め』 -金井美恵子- -kaoriー

旅せぬ白鳥-冬三句

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  旅せぬ白鳥よせあい池の爛漫 寧ろ菊除けて触れてはエロチカ 常宿は椿ありて夜侘し暗し

悦びの陰翳

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冬ありし魔物の三度哭く 『中世の秋』によりてその昔、 基督教が肉体の美はその白きなめらかなる肌を謳ふ。 肌に覆はれし内側醜く穢れしものにてきたり。 粘膜晒し分泌物を湛へし生殖の器はその最たるものなり。 基督が処女より生まるるは清浄を保つことなり。 ゆえ生殖の器より惡しき歓びを愉しむのことは禁忌であり インモラァルなり 。 なればこそ歓びはとこしへに羨望の対象に一度知ることは みづ からに天魔魔呼び込むことになれ。 さりとて悅びは絶えなく汝を幾度も昇天させゆく。 翳は熱く燃えたる肉なり。

写真と法悦-サイ・トォンブリィ

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  生殖を未だもてあます山女かな 美術家サイ・トォンブリィ。 美しい写真を残した晩年は幸せだったのだろうか。 日常の輪郭がぼやけ、ズレて、色の溢れる世界。 チューリップ、絵具や筆、海岸、彫刻。 眩暈の視線。 あらゆるものが恐ろしい法悦に溺れている。 Cy Twombly、1928.4.25 - 2011.7.5

冬籠り

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  肌白や朱のひとすじ冬ごもり 冬は突然にやってきてあなたの膚色を これほどでもなく白色へ向かわせる。 嬉しさは小さき革鞭が ゆくりとあなた柔らかき部位を 舐め廻すことなり。 幾つもの朱のつらなりが美しくて。 紅き唇の吐息欲しくて、 深く々々、鞭を振りおろしてゆく。 -kaori-

崇高と美と

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つまり、 われわれが愛と呼ぶ この混合した情念の対象は 『性』がもつ『美』なのである。 『崇高と美の起源』-エドマンド・バーグ- ーsayokoー

セザンヌの夜

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  からすうり静物と霧と深淵 山間の美術館で再会したセザンヌ。 清廉とした静物画に立ち止まる。 なぜか、夜を想う。 秋の不順な気候、曇天の空がそう思わせるか。 瑞々しい果物、白磁の硬質。光を面として輝くのに。 彼は夜の画家であったかもしれない。 どれほど鮮やかな色彩で描かれたモティーフであっても。 筆触の残る画面の外側から、 ゆるりゆるりと黒が忍び寄ってくる。