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夏の候

希臘ー夏三句

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夏なれば伏せよギリシャのTORSO* 小ささや西瓜哀れ種を吸いだす 不如帰もどれなくて忘れなくて *トルソ(胴体)、希臘(ギリシャ)

海の静物、或いは歪な星

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  ー海の静物ー 広大な宇宙の闇に漂う歪な惑星のように 静かにかすかな光を受け入れる。

実体

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  愛という実態は存在しないけど、 その愛という不可思議な精神のあり方は 意識した魂の数だけ存在している。 ーsayokoー

銅版画、或いは長い夜

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イスラエル・ファン・メッケネム 中世を『暗黒の時代』と呼ぶ。ローマ帝国 衰退とともに世界は混沌と停滞の一途であっ た。それでも人々は神を敬い美を愛した。長 い夜を経てルネサンスの光がみえてきた頃に メッケネムが現れた。金工細工の技術がやが て美を創造したのだった。当時の銅版画は基 督、自然、日常生活の慈しみを表現する。銅 版に刻まれた線は真利亜の祝福を自然の脅威 を人々に伝える。長き夜はひたたび世界を覆 い始めているが美なるものは世界をどう導く のだろうか。              

不遜

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  梅雨空や午後に狂わば奔流す いま此処でなにもかも手放し 初夏の湿度にまかせてひたすら嬉しがる あなたの身体に押し寄せるものが 『作品』だと云ったら不遜なのだろうか。 目にみえぬもの不埒な欲望さえ美しいと いうことをわかってくれるだろうか。 -kaori-

雨季のこと

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  欲情の墨垂れ滲む梅雨かな 雨季のような雨が続くことがある。 屋根を穿つような音を立てて降り注ぐ という言葉が比喩にならぬほどに。 すっかり湿度や低気圧が身体を蝕む世代となり 美しかった世界はいよいよ襲いかかってくる。 唯々与えられた身体に感謝することしかできず ジョセフ・コーネルの箱の如くに 部屋のオブジェになりさがり世界を見つめている。 *ジョセフ・コーネル、コラージュ作品

鳴かぬ蛍

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  鳴く蝉よりも鳴かぬ螢が身を焦がし -浄瑠璃御所桜堀川夜討- -kaori-