蒲公英ー春三句

 



蒲公英や禁忌の綻びそのままに

復讐と知らずしてみる花吹雪

春待ちのペスカトーレが潮吐いて




冬の底で固く閉じていたものが、
気づかぬうちに、皮膚の内側からゆるみはじめる。
蒲公英が地表を押し上げるように、

禁じていた感情が抑えきれずに滲み出てくる。
それはまだ名づけられず触れれば
ほどけてしまいそうな綻びのままにある。

やがて光は過剰なほどに降りそそぎ、
花吹雪の中で、
身体は知らぬまま何かを終わらせている。
それが赦しなのか、
あるいは復讐なのかも分からないまま、
ただ確かに、ひとつの関係が剥がれ落ちてゆく。

そしてまだ冷えの残る内側で、
春を待ち続けていた感覚が、ようやく口をひらく。
ペスカトーレが潮を吐くように、
奥に溜め込まれていた熱や湿り気が、
逃げ場を求めて静かにあふれ出してくる。

それは痛みにも似ているが、
同時に、確かに歓びへと続いている。

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