ノスタルジアふたたび
ー私が誰かって?私の中にいるのは誰だ?ー
『ノスタルジア』アンドレイ・タルコフスキー
『ノスタルジア』アンドレイ・タルコフスキー
明け方に夢をみた。
このあたりに知っているはずの
友人の家がある
そんな確信だけが残っている。
歩き立ち止まりまた歩く。
アパートなのだから
輪郭はすぐに浮かび上がるはずなのに。
どこにもない。
どうしてだ。
建物の姿は具体的に
こんなにもはっきりしているのに。
嗚呼、これは夢なのだ。
目覚めが薄紙をはがすように
少しずつ近づいてくる。
もやりとした感情がかたちを帯びる。
そしてそんな友人の家など
ないことを理解する。
既に知っていた違う事実が
姿を変えて現れただけなのか。
ぼんやりと現実と夢の連携を試みる。
―喫茶去―
夢は温かいお茶一杯で
あっけなく消えてしまう。
連なろうが断たれようが、
そこに意味はない。
ただ人の精神が幻想と現実を
なんの抵抗もなく行き来できてしまうこと。
それだけが静かに恐ろしい。
整理もできず乱雑に
積み重なった過去が
現在を満たし溢れ飲み込んでいく。
現在は夢のように
淡くかすかな光となって
しばらくそこに揺れている。

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