情念あまねく降らして

 



蛇いでてすぐに女人に会ひにけり

万燈道けものの匂ひかたまり過ぐ

雪の日の浴身一指一趾愛し

-橋本多佳子-




同時代の俳壇がどこか牧歌的な
自然礼賛に安住していたとすれば
多佳子は自然のなかに身を置きながら
つねに「私」という情念の刃物を
抜き身で差し出している。
美しいというより鋭利な刃にも感じる。
男が詠めぬ潔さと魔的な情念を
俳句という詩にまき散らしている。

Photo:橋本多佳子全句集・表紙

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