刹那ー冬三句



十字架やひかりある道に師走

冬薔薇や囁けば刹那さへ永久

うつむく水鳥よほしくばほしくば


刹那的な行爲といふものは
時間の長短によつて測られるものではなく
むしろ時間といふ觀念そのものを
一瞬だけ裏切ることによつて成立するのだと思ふ。
ほんの呼吸ひとつ分の接觸や
意味を持たないはずの身振りがなぜか記憶の奧で
增殖し反芻されやがて永遠と呼ぶほかない重みを帶び。
そのとき人は永遠が持續ではなく
濃度であるといふことを
理屈ではなく身體で理解する。

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