私的神話としての絵画 ― ロベール・クートラス


第二次世界大戦が終結した1946年のフランス
「解放」と「混乱」が同時に存在する時代。
若くして神話や宗教そして自らの内面に
取り憑かれるように向き合った画家。

ロベール・クートラス。
正統な美術教育の枠に馴染みきれず
精神の不調や社会からの距離を抱えたまま
彼はほとんど独りで描き続けた。

その絵に現れる人物たちはどこか幼く
同時に痛々しいほど覚醒している。
信仰、英雄、恋人、そして彼自身が
等価な存在として画面に並べられ
神話と私生活の区別は曖昧だ。
これは物語ではなく彼が生き延びるために
必要だった思考の信仰図。

ー曼荼羅のような宇宙地図ー

線描は拙さを装い濁った色彩は控えめに震える。
だがその奥には世界を
信じきれなかった人間の切実な倫理がある。

破滅や孤独すら彼にとっては
装飾ではなく観察すべき事実だった。
だからこそ彼の作品は鑑賞者を慰めない。

むしろ精神の脆さや信仰への欲望といった
普段は軽く見過ごしている感情を
あまりにも素直な形で突きつけてくる。
クートラスの作品は画家の短い生と同じように
壊れやすく、が異様な粘度をもって
いつまでも心の隅に貼り付いて離れない。

だがその奥には世界を
信じきれなかった人間の切実な倫理がある。
破滅や孤独すら彼にとっては
装飾ではなく観察すべき事実だった。
だからこそ彼の作品は鑑賞者を慰めない。

むしろ精神の脆さや信仰への欲望といった
普段は軽く見過ごしている感情を
あまりにも素直な形で突きつけてくる。
クートラスの作品は画家の短い生と同じように
壊れやすく、が異様な粘度をもって
いつまでも心の隅に貼り付いて離れない。




ロベール・クートラス:
1946年生まれのフランスの画家。
独学で神話や宗教私的記憶を描き
精神の不調と孤独を抱えつつ制作を続け1994年に没。

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