誰がためにー春

 


百花春至為誰開

百の花は春に至り誰が為に開く。

百の花は春の訪れとともに密やかに膨らむ。
されどその艶やかな開花は
誰の眼差しをも待たぬ。
花弁の内側で蠢くのは
歓喜とも腐敗ともつかぬ生命の陶酔。

彼女らは唯々己が存在の悦楽のために咲く。
それは祈りにも似てまた罪にも似ている。
人のためではなく天のためでもなく――
花々は微かな呼吸と交わるその刹那のために。


-kaori-

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