悦びの陰翳


冬来たり魔物俯き三度哭く


美しいと思ったのは、
おそらく背骨の線が、
呼吸のたびにわずかに波打つのを見たからだ。
あのしなやかに沈んでいく背中の動き。
その向こうで、鞭の音が――
ひとつ、またひとつと時を刻む。
音は痛みではなく、
むしろ空白の輪郭をなぞるような響きで、
そのたびに世界が
少しだけ正確になる気がして。
あなたはもう知らないふりができない。
その正確さを一度知ってしまった以上。

嗚呼、なんて可哀想なことだろう。
けれど、哀れであることが、
いちばん美しい瞬間というのも、
世の中にはある。

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