セザンヌの夜

 


からすうり静物と霧と深淵


山間の美術館で再会したセザンヌ。
清廉とした静物画に立ち止まる。
なぜか、夜を想う。
秋の不順な気候、曇天の空がそう思わせるか。
瑞々しい果物、白磁の硬質。光を面として輝くのに。
彼は夜の画家であったかもしれない。
どれほど鮮やかな色彩で描かれたモティーフであっても。
筆触の残る画面の外側から、
ゆるりゆるりと黒が忍び寄ってくる。

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