薔薇園ー閉ざされた庭

 


香りたつ水園閉ざして薔薇の庭


香りを孕んだ水の園は
いつのまにか静かに閉ざされ
薔薇だけがかつてそこにあった
濃密な時間の名残のように息づいている。
その庭は触れることを拒むというより
容易に触れてはならないものとして
存在しているのだと思う。

その身体そのものに惹かれているのではない
と言えば嘘になるだろう。
けれどそれ以上に私の関心を
惹きつけてやまないのは
その柔らかさの奥深く重なる襞
誰の指先にも
所有されていない悦びの気配である。
名づけられていないものは
いつも過剰な想像を誘う。

なめらかな曲線を描く肌の下で
かすかな緊張を孕みながら息づく何か。
自由という言葉が一度剥ぎ取られ
鞭の描く放物線を越えたその先に
ほとんど聴き取れないほどの震えを
ともなって拡がる小さく
しかし宇宙のように
果てしない悦びが潜んでいる――
私はその予感に思考よりも先に
身体で反応してしまう。

閉ざされた庭を前に立ち尽くしながら
薔薇の香りがそうであるように触れずとも
確かに存在するものを想い
その不可視の輪郭をなぞること自体が
すでにひとつの愉しみなのだと
静かに確信している。

ーsayokoー

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