奥の院にて



悦びに奥院ありきグレゴリア


非日常とはすぐドアの向こう。
此処に昨日の名のあなたは居ない。
与えられた名前が
あなたから昨日の輪郭を剥がし、
記憶は音もなく沈んでゆく。

拘束と鞭と言葉。
それだけが呼吸する部屋で
囚われているのは空間ではなく
美しい肢体に忍ばせた声と
それを見つめる、わたしの静かな微笑。

夏でもなく冬でもない場所で
百合は理由もなく咲きつづける。
咲いては散り
散ったことさえ忘れ
ふたたび蕾へと戻される。

ーあなたは蕾を自身で再びー

季節が重なりほどけ、
何度も同じ円を描くうちに
身体は時間を誤解し、
狂うことさえ
ひとつの秩序として受け入れてゆく。

-sayoko-



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