冬の秘密ー麗美な箱へ




冬という季節は人の皮膚にとって
試練であると同時に感覚が過剰に
研ぎ澄まされる時期でもある。
乾ききった空気に触れただけで
なめらかな皮膚はひそやかな悲鳴をあげ
些細な刺激さえ深く響かせてしまう。
わたしはそれを知っているから
あえて最小限の鞭を選ぶ。
アナタは強さを必要としない。
ほんの微細な責めが身体の隅々まで行き渡り
思考を追い越して反応を引き出してしまうのだ。

熱情が頂点を越え時間がゆるやかに冷えてゆく
役目を終えた身体は
無防備な静物のようにそこに残る。
溢れ乱れしかしどこか誇らしげな痕跡を
わたしは黙って拭い取る。
身体を薄葉紙に包むようなその所作は
保存のためというより
記憶を丁寧に折り畳む行為に近い。
麗美な箱に仕舞われたそれは
傷つきやすさゆえの価値を帯び
次に開かれる瞬間を静かに待つ。

そしてまだ見ぬ次のレッスンを思い描きながら
冬の時間が再び肌を試す日を
どこか甘美な予感とともに心待ちにするのである。

ーnaoー


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