福音


長い冬の昏さからほとんど忘れられた鐘の音に
呼び戻されるように、
あなたの身体はしなやかな鞭の余韻を
ひとすじ受けとめ、
その痛みをどこかの福音のように
抱きしめながら、
かすかに妖しい花弁をひらいてゆく。

狂いたいのなら
ただそこで与えられていればいい――
いまこの場所で
まだ名も持たないあなたが
ひそやかな救いの影に触れるように
静かな空白へと身を沈めればよいのだ。

-sayoko-

 

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