不可思議
なぜサディズム/マゾヒズムという行為を
選び取っているのか。
折に触れて自問することはあるけれど
その答えを一言で言い切ることはできない。
ただひとつ言えるとすれば―
美しい身体をわたし自身の内に
取り込みたいという欲望があるのだと思う。
けれどそれは決して叶うことのない願いでもある。
触れ縛り刻み込もうとしても
他者の身体はあくまで他者のままで
完全に手に入れることなどできない。
その不可能性があるいは
嫉妬に似た感情を生むのかもしれない。
幾度となく法悦に浸ってきたであろう
そのしなやかな肢体がひどく憎らしく感じられ
思わず鞭を振り下ろす―
そんな瞬間が、確かにある。
そしてその悦びを何時間もの時をかけて
共に味わい尽くす。
痛みと快楽が溶け合い
境界が曖昧になっていく時間。
すべてが終わったあと、
泣きながら―
それでも微笑みを浮かべるあなたの顔。
その壊れやすく抗いがたい美しさに
わたしはいつも静かに息を呑む
photo:kaori

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