バルティスー思春追想

 



まだ、思春期と呼ぶにはどこか手前の、
皮膚の下だけが微かにざわつく季節のこと。
理由もなく醜さとか汚れと呼ばれるものに
ひそやかに惹かれてしまう
――そんな年頃の。

雑誌の片隅で出会ったバルティスの絵を前に、
胸の奥がきゅっと歪むような、
名づけそこねた感情だけが残っている。
たしか「猫と少女」だったはずだ。

生き物めいた湿度を画布の上に漂わせながら、
どこか陰鬱で年寄りめいた狡さすら
忍ばせている少女たち。
触れれば悪い夢の匂いが移りそうで
なのに目を逸らせない。
隠したいのに、ぞくぞくする――
あの、どうしようもない感覚。

気づけば何十年も過ぎ、
いくつもの美のフィルターを通り抜け、
作品の棲む世界の呼吸のようなものが
ようやくわかりはじめた今になって、
ああやっと彼女に話しかけても
いいのだと思えるのだ。





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