贅沢について

 

冬ざれや百度剥けどもベルメィル


性を愉しむとは
衝動に身を委ねることではなく
忘れ去られた感情の層を
古びた書簡を解くやうに
そっと撫で起こす行為である。

時間は急がず
皺の刻まれた肉慾の表面を
指先は確かめるやうに
ゆっくりと巡りゆく。

ーハンスはそれ幾度も触れたのだろうー


それは日常の光からわずかに逸脱した
ひそやかな場所で拓かれる。
過剰なほどに贅沢で
きわめて私的な愛の領土である。

気まぐれな遊戯などではない。
むしろ呼吸よりも深く
生を持続させるために
密かに蓄えられる内省の糧である。

Photo:Hans Bellmer 


コメント

メッセージフォーム

名前

メール *

メッセージ *