旅路

陽はすでに森の奥へ消えて、
窓の外の喧噪が嘘みたいに消えてゆく。
あなたと幾千の夜を過ごして、またここに居る。
きっと、まだ足りないのだ。
その眼の奥底に火が残っているのを知っている。
どれほど長い川でも、
その欲望は流せはしないだろう。
どれほど長い冬でも凍らせることはできないだろう。
わたしは夜の帳に光る鞭を手に取る、




 

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