残照


地下鉄を降り階段を上がる。
夕に照らされた枯れた風景が
ゆっくりと迫ってくる。
塗料の白は煤で濁り
ビル群は無言のまま迎えてくる。
振り返ることもなく私は生きてきた。
風景が変わったことにも気づかないまま。
今日以降何千億回と繰り返されるであろう日没は
ビルが雨で削られ地が海にのみ込まれるのを
じっと待っているかのようだ。
そのとき同じシステムの眼球を持った生物は、
なにを思うのだろう。
それとも何も思わずただ世界を映すだけなのか。



コメント

メッセージフォーム

名前

メール *

メッセージ *