不徳


こうした関係にあって、
私はしかも、
私にしかわからない不徳のよろこびを
抜け目なく味わっていた。
それは世の常の不徳よりも一段と微妙な不徳で、
精妙な毒のように清潔な悪徳なのである。

『仮面の告白』 -三島由紀夫-

photo:kaori

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